続ブログションガネー

心にうつりゆくよしなしごと

国立映画アーカイブの「オリンピック記録映画特集」(2019年)

Evernoteの整理をしていて2019年に書いたまま未完となっていた文章があったことに気づき、3年経って少しばかり書き足してみた。多分、Noteにアップしようとして年末年始の忙しさに追われてそのままにしていたのだと思う…そういう今も年末であったりするが。

2019年に開催された国立映画アーカイブ「オリンピック記録映画特集――より速く、より高く、より強く」は国立映画アーカイブで開催される特集上映の中では一番観に行った回数が多かったかもしれない。
様々な切り口でオリンピックの歴史を眺めることができたこと、今まであまり知らなかった競技に興味を持てたこと(陸上の十種競技やボート系競技)が収穫だった。
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年代順に観た作品を並べてみる。

「ローマ・オリンピック1960」
ラソンで、夕闇に包まれたゴールのコンスタンティノス凱旋門に裸足のアベベが駆け込んんでくるのは実にドラマチック。話には聞いていたが、本当に走り終えてすぐストレッチ始めたのには驚いた。この時ややあどけなさもあったアベベが、東京では顔つきの締まった熟練ランナーに変貌する。
テンポの良いナレーションが心地よく、ローマを紹介する観光映画の側面もある楽しい作品。選手の本職も紹介するのがアマチュアリズムの時代を感じさせてくれて興味深い。

東京オリンピック
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言わずもがな。東京オリンピックをリアルで見ていないのに何回観ても感動する。最後のオリンピックマーチの流れる中のスタッフのクレジット(ABC順)まで楽しい。「いだてん」最終回の前週に観たので、最終回をより一層楽しめた。
そしてこの作品、ほぼ半分が陸上競技パートだったことに気づいた。

「太陽のオリンピア-メキシコ1968-」
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上映開始後に前奏曲の時間があるのはかっこいい。ローマからメキシコの頃、記録映画にグランドロマンの趣がある。
陸上競技で気持ちいいほど世界記録やオリンピック記録がガンガン出る(メキシコシティが高地だったかららしい)。走幅跳で飛びすぎちゃって計測機で間に合わずメジャーで計測するところは圧巻だった。
体操の中山選手の平行棒の演技が実に美しかった。

札幌オリンピック
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前半最後は日の丸飛行隊の栄光を、後半最後は90m級ジャンプの笠谷選手の失速を描くという心にくい作り。クロスカントリースキーの給食にミロがロゴ入りカップで出されていて、アマチュアの祭典にコマーシャルが入ってきつつあったのだなと。
聖火リレーで北海道の各地が出てくるので、これまた観光映画的に楽しかった。浦河では馬に乗ってリレーしていた。
この時からサマランチ氏がIOC会長に。長かったね。

「スポーツよ、君は平和だ!」(モスクワ)
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やっぱり自国の選手がいないのはさびしい。西ヨーロッパやオセアニアの国々は、NOC単位で出ていたのか。
古代オリンピックのことを紹介するアニメーションが所々に入るのは面白かった。
ラソンの場面でのアイルランドの選手にスポットを当てて選手のぼやきをナレーションしていくのはTwitterのご先祖様みたいだ。5000mだったらもうシャワー浴びて帰れるのに!とか。そしてこのレースに瀬古さんや宗兄弟の姿が見えないのが…。
閉会式の「さよならモスクワ」と、ミーシャの人文字の涙、空に帰るミーシャの三点セットが悲しすぎた。開会式や閉会式でアメリカの国旗を掲げている人が映って、「いだてん」最終回の吹浦さんを思い出した…。

「栄光の16日」(ロサンゼルス)
みんな大好きロケットマンからスタート。数名の選手にスポットを当てていく形式で、柔道の山下さんのパートは、柔道や競技者としての山下さんへのリスペクトに満ちていた。
陸上の十種競技は2日かかる競技を、トップ争いをする選手中心に追っていく。十種の短距離や幅跳びは、体格の良い選手が走って跳んで、迫力がある!投擲もやって本当にキングオブスポーツだ。この映画で十種競技の面白さを知った。
面白かったのは女子体操。客席にいるレットンの普段のコーチ(別に代表のコーチがいる)にマイクをつけて、彼のレットンへの励ましの言葉を拾っていくんだけど、もうレットンを励ましまりで、彼女が金メダルとったときは大はしゃぎ。騒ぎすぎでレットンが減点されそうになるという(^_^;)。
記念すべき第一回目の女子マラソンも採り上げられた。優勝したベノイト、銅のロサ・モタが懐かしい。英国チームの平均年齢に、ミドル層ランナーの私は勇気づけられた。

「ハンド・イン・ハンド」(ソウル)
東西諸国が8年ぶりに揃った大会。しかし次のバルセロナオリンピックまでにベルリンの壁がなくなり、冷戦が終結し、ソ連がなくなる…ということでオリンピックの歴史のポイントになる大会だ。
一族、子弟、陰陽など韓国など東アジアの哲学をまぶしたつくりが興味深い。韓国の哲学を少しでもかじっていたらさらに踏み込んで観られたと思う。
ベン・ジョンソンが100mで世界記録を出した瞬間にメディアの人が一斉に電話をかける。この頃はまだ通信は電話の時代なんだよなあ。棒高跳びブブカとか短距離のジョイナーも登場。クラスの足の速い子は「ジョイナー」って呼ばれてたなあ。
男子マラソンでは中山選手が登場。コース沿いにコスモスが咲いていて?と思ったら、9月中旬開催だったのか。やっぱり少しは暑さがおさまるこの時期に開催するのがいいよね。
文化プログラムのことも採り上げていて、歌舞伎も少し映った。日本文化解放前だったの韓国で「忠臣蔵」をやっていたとは!菊五郎の若狭之助、萬次郎の直義だった。

※下記の2本は鑑賞メモを残していなかったので、現在残っている記憶で書く。
「マラソン」(バルセロナ)
開会式で、ほぼ人力で機械を動かしているのが印象に残る。この後ぐらいから映像を多用するようになっただろうか。夜スタートの開会式はここからだったらしい。

「1998長野オリンピック 名誉と栄光の物語」
英語のナレーションが流れて驚いたのだが、主なスタッフは外国の方だったらしい。
ジャンプのラージヒルは、自分がリアルタイムで知っているオリンピックの中で一番好きなところだ。ふなきー!
フィギュアスケートの陳露選手が懐かしかった。

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