続ブログションガネー

心にうつりゆくよしなしごと

平井鳥取県知事の『鳥取力』

2021年のゴールデンウイークは、部屋の整理のために積読していた本を読もうと思っていたのですが、ふらふらと立ち寄ってしまった図書館の新刊書コーナーに置いてあった平井伸治鳥取県知事の著書『鳥取力』につい手が伸びてしまい、借りて一気読みしてしまいました。

鳥取県は、日本で最も小さな県である。中国地方の片田舎としか認識されず、企業誘致を提案しても苦笑いされた。しかし大震災と新型コロナ感染拡大により時代の空気と価値観が変わった。鳥取を魅力的な場所と思ってらえるようになった。新型コロナ感染症対策では、ドライブスルーのPCR検査を導入し独自の施策を展開。クラスター対策条例なども施行し感染者が一番少ない県となった。本書では、小さな県の大きな戦いを徹底紹介する。
(中公新書ラクレHPより)

イムリーな話題なので、鳥取県のコロナ感染症対策に触れた最初と最後の章は一番興味深いものでした。感染者への早期対応、ドライブスルー形式のPCR検査、役所間の縦割りを取り除く、観光を県民で回す、現場の声を拾うなど県のサイズを生かしたうえでの小回りの利いた対策には唸らされました。
そういえば知事も文中で触れていますが、去年の春先にニュースでも採り上げられた鳥取県庁の皆さんが段ボールを活用してパーテーションを作って業務に従事する「鳥取型オフィスシステム」は、今ではバージョンアップされていろいろな場所で使われるようになっています。イ◯ジンよりよっぽど効果的なことをされているではないか。

また、飲食店の経営に関しては、

入念に感染予防対策マニュアルを策定してもらい、県の補助金を活用するなどでお店の感染対策を施し、専門家がお店を訪問してチェックした上で、一軒一軒お墨付きを与える。いわば「モデルケース」をして認証されるものだ。
という「新型コロナ対策認証事業所」制度を設けたそうです。
罰則を与えるより、このようにモデルケースを作って見本にし、いい方向に導いていく方が健全ではないかと思いました。

他の章でも、平井知事の県政での様々な試みと県の動きのアクティブさについて読んでいたら元気が出てくる一冊でした。
もちろん、おなじみの平井知事のおやじギャグも文中に出てきますのでお楽しみに。

※Noteに2021年5月5日に掲載した文章に加筆修正しました。

北条秀司の『奇祭巡礼』

昭和から平成にかけて大活躍した劇作家の北条秀司の『奇祭巡礼』がこのたび(2021年)淡交社から再刊されました。
歌舞伎愛好者の私にとって、歌舞伎の脚本も書いておられた北条先生はなじみの存在で、令和の御世に先生の本が再刊されるとは(泣)。

この本を読んで初めて知ったのですが、北条先生はお祭りが好きだったらしく、何冊かお祭りに関する本も出されていたようです。私もお祭り好きなので手に取った次第。
ちなみに「奇祭」と銘打ってはいますが、取り上げられているお祭りをネタにして扱っているわけではないです。
奇祭という字を用いたが、それは現代感覚の上で様式がめずらしいというほどの意味であって、どの行事も古来厳粛な信仰心によって奉仕されて来たものだ。そして現在でもその心は消えいず、当事者たちは敬虔な態度で奉仕をつづけている。その姿を描いてみた。
ー「あとがき」より

文中に出てくるお祭りでは、地獄の様子をお芝居仕立てで演じる千葉の虫生の「鬼来迎」や、吉野の金剛峯寺の「蛙飛び」などは行ってみたくなりました。

それから、北条先生の文章のうまさにも改めて感銘を受けました。いい意味で力の抜けた文体。オチの付け方。風景描写の巧みさ。万葉集の歌や芭蕉の句の引用のタイミングの良さ。こういう文章を書けるようになりたい。
一番うまいと思ったのは、「相馬の原の野馬追い」の章の最後です。
先生はおそらく野馬追いがお好きで、文章にもちょっと力が入っています。これは野馬追いの描写も楽しそうだ!と盛り上がったところ、
さあ、いよいよ待望の相馬野馬追いだ。
の一文で文章が終わってしまうのです。
うまい、うますぎる。
これから先を見たくて現地に行きたくなっちゃじゃないですか!

かつて大学の国語学の時間に「自分の好きな文章を原稿用紙に書き写してください」という課題があったのですが、この本の文章はは丸ごと一冊書き写したいです。

※Noteに2021年4月7日に掲載した文章に加筆修正しました。

家の近くに本屋さんがなくなってしまい困っている助けてくれ!!

私の家のそばには、子供のころからこのような感じで本屋さんが常にあった。
個人商店A、小規模店舗のチェーン店B、C、D(ただし文具メイン)→チェーン店B、C→チェーン店B、C、中規模店舗のチェーン店D→チェーン店D→チェーン店D、大規模店舗のチェーン店E→大規模店舗のチェーン店E

子どもの頃から活字中毒だったが、本屋さんと地元の公営図書館の両方のおかげでで大変ありがたいことに本に困ったことはほとんどなかった。

…しかし、である。昨年(2020年)Covid-19の流行とともに悲しい知らせがやってきた。E書店がテナントの事情でその年の夏に閉店するのだという。
謎の疫病の流行で気が滅入っている上にこの知らせである。私は非常なダメージを受けた。
ちなみに私はあまりア○ゾンを使わない主義者である。なぜなら本は現物を確かめて吟味してから買いたいのと、本屋さんで思いもかけぬ面白い本を発見することが楽しいからである。

大変ありがたいことに、E書店は緊急事態宣言中も開店していたので、私は今後も続くかもしれないステイホームのために本を複数回求め、少しでもE書店に最後の貢献をさせて頂いた。お店へのお別れメッセージにもびっしり思いの丈を書いた。

E書店が閉店してから半年以上たつが、E書店ロスはまだ続いている。なぜか隣の駅には本屋さんが3店もあるので、どこか1店移転してきてくれんだろうか。

※Noteに2021年3月31日に掲載した文章に加筆修正しました。この文章から2年経っても地元に本屋が開店する気配はない!

2022年のこれ1本

好きなジャンルでのこれ1本を挙げてみます。

邦画
「土を喰らう十二ヵ月」
沢田研二扮するツトムと過ごす穏やかな十二ヵ月の暮らしが心地良い。ツトムの飼っているワンコのさんしょが作品の良き香辛料になっていた。中江裕司監督は新境地を拓いたのでは。

洋画
「ひまわり」
テーマ曲の勝利。

美術展
「没後50年 鏑木清方展」
「築地明石町」、「浜町河岸」、「新富町」の三幅対の美しさ!歌舞伎の芝居絵も生き生きしていて素晴らしかった。


「どこにもないテレビ」渡辺考・著
沖縄のテレビ放送史を綴る。著者はNHKの中の人だが、民放の歴史も採り上げている。テレビ番組版もいい内容だった。

ラソン
東京レガシーハーフマラソン2022
3年ぶりに出場したレース。まだまだマラソンのできる体になっていなかったけれどもなんとか完走することができた。

サッカー
サッカーW杯 日本対ドイツ
2002年のサッカーW杯の準決勝戦以来、日本代表の次にドイツ代表が好きである。その両者が対決したわけだが、まさか日本が逆転勝利するとは!対戦国マーク入り代表ユニを買っちゃったよ!

北京オリンピック
カーリング女子
今回もカーリング沼にハマった…!決勝は、滞在していたホテルをレイトチェックアウトにして観てしまった‼️

歌舞伎
11月歌舞伎座助六所縁江戸桜」 中村梅玉の白酒売新兵衛
ゆったりとした佇まいとほんのり漂うユーモア、しかし時折り見せる曽我十郎要素のバランスが良かった。梅玉さんは十二代目、十三代と二代の助六で兄上を演じたことに。

 

 

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