続ブログションガネー

心にうつりゆくよしなしごと

南座 三月花形歌舞伎

f:id:bondanavera:20230326110451j:image
南座に三月花形歌舞伎を観に行ってきました。
右近・壱太郎・莟玉・千之助・‪鷹之資‬がメインとなり、「仮名手本忠臣蔵」を
大序〜四段目までは右近と壱太郎が交代で解説役となる「解説 <仮名手本忠臣蔵のいろは>」
五・六段目は上方の型と音羽屋の型を交互に上演
七段目から十一段目は「忠臣いろは絵姿」で吹き寄せ形式
と色々な形式で通しで上演するという工夫の凝らされた興行でした。

仮名手本忠臣蔵のいろは」は、過去の舞台写真を豊富に使ってコンパクトに説明が進みます。途中で、南座ゆるキャラも参加しての撮影タイムもありました。

「五・六段目」は交互に上演することで音羽屋型と上方の型の違いがよく分かりました。音羽屋は勘平をいかにかっこよく見せるか、上方は物語をどう見せるか。例えばそこでおかやさんの人物像も違って見えてくる(上方は、家族を一気に失った悲しみが見える)のです。他にも五段目で千崎が勘平の家の場所をメモるかどうか、源六の商売の範囲がどう変わるか…などなど。
勘平。壱太郎は、声を張ったところがお爺さんによく似ている。右近は青春の最後の煌めきが眩しいばかりでした。この二人が役がわりで一文字屋お才を演じているのも面白いです。
お軽。千之助は裏門合点を、莟玉は七段目の「じゃらじゃらじゃら」を、と繋がっている場面のお軽も観てみたくなりました。
‪鷹之資‬はあの若さで定九郎の凄みを見事に出していたのが素晴らしいです。先月の「船弁慶」に続いて大当たりでした。彼は将来、平右衛門と由良之助もいけそうな気がします。
吉之丞は、原郷右衛門も定九郎も師匠の佇まいによく似ていました。この3月は吉右衛門系の人々が、国立劇場南座義太夫狂言を東西で支えています。
おかやの千次郎に菊三呂、源六の翫政に荒五郎も好演でした。

「忠臣いろは絵姿」は八段目は人形ぶり、十段目は面の使い分け…と趣向を凝らした展開が良かったです。七段目の平右衛門を茶屋の娘役の千之助がやったのですが、娘の姿を借りた平右衛門という不思議な展開がすっと受け入れられる感じがしました。

f:id:bondanavera:20230326110455j:image
ロビーには撮影スポットも数カ所設けられていました。
この他、上演期間に出演者がインスタライブを連続で開催したり、とにかく出演者が舞台を盛り上げようとしているのには好感が持てました。

終演後、劇場の外に出ても寒くない…顔見世の時期以外に南座に来たのが初めてなのでした。

f:id:bondanavera:20230326110447j:image

聖護院の境内にあった桜です。

にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 歌舞伎へ
にほんブログ村