国立劇場に歌舞伎を観に行ってきた。「遠山桜天保日記」、歌舞伎の遠山の金さんである。金さんを演じるのは尾上菊五郎丈だ。
今回は3階席で観た。国立劇場は3階席からでも花道がしっかりと見えるのがありがたい。
物語は、芝居小屋に出入りする遠山家の若様の金四郎が奉行になり、強盗とごろつきと破戒僧の3人が起こしたあれこれをお白洲で裁く展開である。金さんのおなじみのあのセリフや桜吹雪も登場する。
お正月の国立劇場の歌舞伎は流行ものが登場するのが定番だが、今回も北海道方面で流行ったあのダンスのパロディや、中東方面でよく話されたあの褒め言葉が出てきた。金さん、サッカーW杯見てたのか。
ワルの3人組を演じた松緑、菊之助、亀三郎の並びは安定していていい。この3人で「三人吉三」を観てみたいと思った。それから健気な小僧を演じた丑之助、舞台度胸たっぷりの寺嶋眞秀の従兄弟同士が好演だった。
余談だが、国立劇場の横にあるのは最高裁判所であり、最高裁に金さんのお白洲と新旧の裁判関係の官庁が並ぶのが面白い。
松の内は、開演前にロビーで獅子舞が披露される。この国立劇場の建物でお正月を迎えるのは最後だと思うとちょっとさびしい。
それから、国立劇場のロビーの広さは都心の建物では貴重なのでは。幕間にロビーの席にあぶれることがほとんどない。
3階のロビーには、戦後の歌舞伎俳優の肖像画が展示されているのだが、この肖像画を描いた長谷川昇が私の生まれる1日前に亡くなっていたのには驚いた。
幕間は、1階の食堂で国会カレーを頂いた。濃厚な味わいが良い。なぜ国会かというと、このカレーを出す食堂が国会で議員食堂もやっていて、そこで出しているものと同じカレーだからのようだ。国政の味。
ロビーで記念スタンプを押したら、現在の国立劇場の平常までちょうどあと300日と出た。残り1年を切ったのか。